【トーク】
−中央競馬に物申す−


「一流」のお墨付き

 武豊騎手の記録が塗り替えられた。塗り替える側のジョッキーが逆の立場 になったわけで、新しい記録はたたえながらも、心中は複雑であるかもしれ ない。破ったのは三浦皇成騎手。新人騎手としてJRA競馬の年間騎乗回数 554回を上回った。  今年はまだ2か月以上も残しており、新人の年間騎乗回数記録はそれこそ 破られることのないくらいの数字になりそうだ。それ以上に凄いのが「69勝」 超えである。1987年(昭和62年)の武豊騎手のこの記録は、大げさでなく不 滅だと思わせたものだ。それをこの時期に更新する新人が出現するとは夢に も思わなかった。69勝で3日間足踏みしたものの、今週にはおそらく「70」 の新記録が達成されるだろう。  新人騎手で50勝を超えたのはこれまでに3人。武豊騎手のほかには、1960 年(昭和35年)の加賀武見騎手(58勝)、1996年(平成8年)の福永祐一騎 手(53勝)がいる。この3人ともが一流ジョッキーとして活躍した、あるい は活躍中である。つまり、三浦騎手の将来も約束されたといえる。  加賀騎手は見習い騎手時代が長くて、デビューした年には減量の恩典がな かった代わり、その腕達者ぶりは関係者の間で相当高く買われていた。武豊 騎手と福永騎手は名ジョッキー二世で大いに注目され、最初から騎乗馬にも 恵まれていた背景がある。しかし、三浦騎手はそのどれにも当てはまらない。  厩舎所属時代とは違い、フリーエージェント化の現在はリーディング上位 に騎乗馬が集中し、中堅以下にはなかなか機会がめぐってこない。まして、 新人ではさらにチャンスは少なくなる。その中から大レースに騎乗依頼が舞 い込むまでの活躍にはびっくりさせられる。周囲の後押しがあっても、実力 が抜きんでていなければここまでの働きは不可能だった。精進を怠らなけれ ば、まだまだ伸びる。