【トーク】
−中央競馬に物申す−


鉄人にも限界

 岡部幸雄騎手が3月10日の記者会見で引退を発表した。昭和23年10月31日 生まれの56歳。むろん、現役最年長である。このさしもの鉄人も、体力の衰 えは気力だけではカバーしきれなかったようだ。同期に福永洋一、柴田政人 など、錚々たるメンバーがいて、その中で39年間、積み重ねた2943勝は、実 に重みのある数字といえる。  引退の危機は何度かあったように記憶する。身近には昨年。1月に復帰し たが、そこに至るまでのブランクの長さ。気の遠くなるようなきついリハビ リの日々。それに耐えて、昨年は60勝したが、もう余力は残っていなかった ということなのか。  地方競馬には、7000勝以上も記録した佐々木竹見という鉄人がいた。60歳 近くまで現役を通した。騎手の過酷さを思えば、信じられないことである。 中央競馬にも増沢末夫現調教師が50歳を超えて現役を続けたものだ。できる なら、岡部騎手にはもう少し現役を続けてもらいたかった。そう思わせるほ どの技術はあった。  親子ほど年の違う武豊騎手とのGT勝ち鞍争いで抜きつ抜かれつのデッド ヒート、あと57勝で3000勝、クラシックで唯一勝っていない桜花賞への思い、 それらを封じ込んでの引退発表だったに違いない。今後は調教師転向を考え ていないらしい。勝手をいわせてもらうなら、70歳の定年まで岡部調教師と して接触を続けたかったのだが、いずれにしても、岡部騎手の残した功績は 大きい。たとえ調教師にはならなくても、何らかの形で中央競馬の発展にか かわってくれることを願う。