【トーク】
−中央競馬に物申す−


躍進、音無厩舎

 リーディング・ジョッキーは西の武豊騎手、東の柴田善騎手がともに独走 体勢にある。一方、リーディング・トレーナーの方はというと、東は例年通 り藤沢和厩舎で順当だが、西は音無厩舎が2位以下に大きく水を開け、初の 首位が確定的である。  昨年は前半がよくて、後半に失速して26勝、関西で13位にすぎなかった音 無厩舎は、今年は50勝も現実味を帯びるほどの飛躍ぶりである。しかも、連 対率が3割5分近くで、藤沢和厩舎とも遜色がないというのだから立派だ。 こういっては何だが、年頭でこの結果を誰が予想しただろうか。上位常連の 森厩舎、山内厩舎、池江泰郎厩舎、橋口厩舎あたりが1位候補とみる人が大 方だったに違いない。  音無厩舎は平成7年6月21日の開業で、昨年までの9年間で152勝を記録し たにすぎない。今年の陣容もリンカーンとレニングラードが重賞を一つずつ 勝った程度なのに、これだけの白星なのだから驚かされる。よほど万遍なく 管理馬が働いた結果で、このことは珍しいし、管理者として誇っていいだろ う。  音無さんは昭和54年3月に騎手デビュー。初勝利が翌年の7月20日だから、 1年4か月、95戦も要したように、決して光の当たる騎手人生ではなかった。 それでも、平成5年に引退するまで1212戦84勝で重賞6勝、その中に昭和60 年のオークス(ノアノハコブネ)の金星がある。この時も驚かされたが、今 回は調教師として、大向こうを唸らせたわけだ。  メリット制が採用されて以来、いわゆる大手厩舎と、そうでないところの 差は広がる一方の傾向を示しつつある。上位厩舎には評判馬が集まり、つれ てジョッキーがついてくる。その中にあって、この一挙の台頭は爽やかな風 を運んだ。所属の2年目、生野騎手も成長した。馬も人も育てながらのこの 成績は大したもの。騎手時代の苦労が開花したのなら、来年以降がさらに楽 しみな厩舎になる。