【トーク】
−中央競馬に物申す−


勝てぬヒロインを選択

 3月22日の月曜日は、競馬ファンの目が高知競馬場へ集中した。この日は 交流重賞、新人王争覇戦なども組まれていたが、お目当ては105連敗中のハル ウララが武豊騎手とのコンビで出走したからである。あいにくの雨もように もかかわらず、全国的にフィーバーしたようだ。関西圏では毎日放送局の「 ちちんぷいぷい」という番組の中で実況生中継され、高い視聴率を上げたと いう。  結果はご存じの通り、11頭立て10着、連敗記録は106に伸びた。しかし、単 勝オッズ1.8倍にまで押し上げたファンは、ドロンコになって走るハルウララ に大きな声援を送った。1998年(平成10年)11月17日の初出走以来、競馬で得 た賞金はわずか106万5000円。よくもまあ、あきらめずに使い続けたと感心す る。それが今日の人気を呼ぶのだから不思議な現象ではある。  この日の高知競馬場は1万3000人で満員、入場制限をした。同競馬場始ま って以来のケース。全国発売で、その売り場はウインズ、競馬場とも人であ ふれかえった。グッズが飛ぶように売れ、本にもなった。映画化もされる。 ここまで負けたら、勝ち続けるよりも話題性に富むということだろうか。  かつて、中央競馬でもハイセイコーが中央デビューの日、ファンで競馬場 は埋め尽くされた。そして、ハイセイコーの歌はヒットチャートで上位を占 めた。平成に入ってからはオグリキャップ。頂点を極めた後で極度のスラン プ。それが復活有馬記念(平成2年)ではオグリ・コールにわいた。  昭和40年代のハイセイコーは日本が一番勢いのあった時代、平成初期のオ グリキャップはバブル期だった。そして現在は、不況の真っただ中で、ファ ンは強いヒーローでなく、勝てぬヒロインを選択した。競馬もまた、世相を 反映するのだろうか。ともかくも、不思議な現象ではある。