
【トーク】
中央競馬にもの申す
千草伊三郎さんの情熱死なず
競馬評論家の千草伊三郎さんが亡くなられた。83歳、もうちょっとで84歳
の誕生日という7月30日の午前10時だった。本誌でもトークなどでおなじみ
だが、競馬とつき合って60年ほどだから、日本中央競馬会発足よりも古いこ
とになる。
日本経済新聞の記者、短波放送の解説者、さらに評論家として、今日の競
馬を支えてきた。権力に迎合せず、常にファンの立場で物を言い、不正や不
公平を嫌った。その精神から、時には体制側に辛辣な批判を浴びせたものだ
が、それで恨まれることはない。真摯な態度と豪快な笑いが怒った心をなご
ませる、そんな人だった。
競馬を愛し、競馬に関しての議論を好んだ。議論をし始めると、キリがな
いほどに熱中する。ここまで競馬にのめり込めるものかと感心することもし
ばしば。そんなだから、病に倒れて入院中でも、しっかりと原稿はファクス
で送られてきた。
死を迎える直前まで、その情熱はさめなかったそうだ。83歳にして、その
姿勢。物事の考え方は千差万別、ひとそれぞれで、千草氏の指摘が必ず的を
射たかどうかは意見が分かれるとして、そういう姿勢には心うたれる。
本人は「憎まれっ子、世にはばかる」などと、よく冗談に言っていたもの
である。本当に、もっともっと元気でいてほしかったと思う。残念だけれど
仕方ない。お疲れさまでした。今度は向こうの世界でゆっくりと、大好きな
競馬を観戦して下さい。シンザン、テンポイント、トウショウボーイなどと
一緒に。
これまでの「天馬のトーク」はインターネットで見られるようになってい
ます。